ルーキーレーシングの「モリゾウ」選手ことトヨタ自動車 会長の豊田章男氏が、プライベートで静岡蒸溜所を訪問されました!
桜の花びらに、しとしと雨が降り続くそんな春の日。
静岡蒸溜所にスルスルと入ってきたセンチュリーSUVから、オクシズの地に降り立ったひとりのジェントルマン。その人こそ、レーシングチーム ROOKIE Racing のオーナーでありレーシングドライバー「モリゾウ」選手こと、トヨタ自動車株式会社の豊田章男 会長でした。
この日はプライベートのお時間ということで、ルーキーレーシングのロゴ入りの上下というスポーティーな出で立ちです。日頃からウイスキーを愛飲されているそうですが、ウイスキーの蒸溜所を見学するのは初めてとのこと。
最初に入ったテイスティングルームでは、熊谷守一の書「我忘吾」の意味を質問されて、代表の中村が「ウイスキーを飲んでいる時の境地、自分とウイスキーが一体になった感覚を表している言葉だと思ったので、これを掛けています」と答え、なるほどと頷かれていました。
分析室では、マスターブレンダーである中村が、ブレンドの手順を説明しました。
候補の数百の樽から香りだけで使う原酒を選別し、レシピを試行錯誤しながら、最後は実際に飲んで味わいを確かめて決めていること。
モリゾウさんからは「私もトヨタではマスタードライバーとして、クルマの最終的な味付けを決めているんですよ」との話があり、クルマ造りもウイスキーもマスターの感覚が大事という共通認識が共有されました。
製造現場のスタートは、粉砕の工程から。
静岡蒸溜所では、外国産大麦だけでなく、静岡や国産の大麦も原材料にしていることを説明しました。
そして、やはり機械が気になるご様子で、英国ポーティアス製の古いミル(麦芽粉砕機)の構造について質問がありました。足元に気をつけながら、ミルのそばへ。
中村「構造は単純なんですが、ベアリングやベルトなど、部品を探すのが大変なんです」
モリゾウさん「どうやって調達するんですか?」
中村「インチ規格のベアリングは国内で見つかりますが、ベルトは古い規格の特殊なサイズのため、英国で探します」
発酵槽では、発酵中のモロミもご覧いただきました。
アルコール発酵中は、二酸化炭素も発生しているので、注意しながら香りを確かめます。発酵のタイミングによって、フルーティーだったり、酸味があったりとさまざまな香りが感じられます。
ここで、発酵槽自体にも注目。
単なる木製ということではなく、テロワールを表現することを目指して静岡産の杉で作ったもの、オレゴンパインで作ったものと2種類あります。それぞれの発酵槽に棲みつく微生物が異なることから、ニューメイクの味わいにも影響があるのではないかと考えていること、酵母によっても味わいが変わってくることなどをお伝えしました。
そしていよいよ蒸留へ。静岡蒸溜所の特徴のひとつ、薪の直火蒸留機です。
扉を開けて、カマドの中で実際に燃える炎をご覧いただきました。薪直火のリアルを感じていただけたかと思います。
内部の耐熱レンガの組み方次第で、空気の流れが変わり、温度が上下するため、自分たちでレンガを並べ替えて改善していることを説明しました。
そしてウイスキーといえば、樽。
熟成庫もご案内しました。この土地に辿り着くまでのエピソードや、山々に囲まれた周辺の環境についてもお話ししました。この日は雨模様で、霧が出ていたのも雰囲気がありました。
蒸溜所のある玉川地区は、「日本一速い男」と呼ばれた星野一義さんの地元であることをお伝えしたところ、とても驚かれていました。星野さんはご自身のチーム・インパルで、トヨタエンジンでスーパーフォーミュラを走らせています。個人的にもモリゾウさんと親しくコミュニケーションをされているそうです。
熟成庫に入ると、何段にも積まれた樽がお出迎え。湿気も手伝って、濃密な甘い香りに包まれます。
「やっぱりウイスキーといえば、これですね」と、モリゾウさんもおっしゃっていました。
中村からは、ウイスキーは何年もの長い年月をかけて熟成が必要なので、いま仕込んでいる物は未来のためのものであり、次の世代に渡すべく日々造っていることをお話しました。モリゾウさんは、時間がかかる点はクルマも同じであり、次の世代に伝えることの重要さも同じですね、と将来的なスタンスについても共通点を見つけられていました。
その後も一番古い樽を見つけたり、鏡板の表記について確認したり、ウイスキーの香りで胸いっぱいにしながら、出発の時間ギリギリまで雰囲気を味わっていただきました。
最後に、弊社スタッフとの記念写真をお願いして、パチリ!
モリゾウさん、静岡蒸溜所へお越しいただき、ありがとうございました!
ご縁の始まりは、富士スピードウェイホテルから
そもそものご縁のキッカケは、ハイアットグループのラグジュアリーリゾートホテルである富士スピードウェイホテル。御殿場市にある、トヨタ自動車が運営するサーキット「富士スピードウェイ」に隣接して建設されました。
サーキットに隣接するオフィシャルホテルとして、内装はモータースポーツをモチーフにしていて、「富士モータースポーツミュージアム」も併設。クルマ好きでなくともワクワクする、趣向が凝らされた圧巻の展示です。
ブレンデッドMが、モリゾウさんに発見される
ここでは2022年の開業時から、ホテルのオフィシャルウイスキーとして、静岡蒸溜所の「ブレンデッドM」が採用されています。モータースポーツをイメージしたスポーティーなコンセプトが、ホテルのテーマにピッタリと合ったからでした。
モリゾウさんが、ホテルでこのブレンデッドMを飲まれて、「このMは、MorizoのMだな!」と気に入っていただいたそうです。以来、トヨタのイベントやプライベートでもブレンデッドMをお飲みいただいているとのこと。
そして、ルーキーレーシングとのコラボレーションが実現!
富士スピードウェイは、トヨタ自動車株式会社のホームサーキット。豊田章男氏がオーナーを務めるレーシングチームのルーキーレーシング(ROOKIE Racing)のガレージも置かれています。
「モリゾウ」の名でドライバーとしても活躍する豊田氏が、ブレンデッドMを気に入っていただいたことから、ルーキーレーシングとのコラボが実現。モリゾウさんが乗る水素エンジンのGRカローラ32号車にちなんで、320本を販売しました。(本商品は完売しています)
ルーキーレーシングでは、他にも14号車や28号車がありますので、将来的にさらなるコラボレーションができたらいいですね。