2015年7月2日
静岡新聞 朝刊 県内総合面
ウイスキー生産へ
静岡・玉川地域
住民組織で農産物加工所も
酒類の輸入販売を手がける静岡市清水区の「ガイアフロー」が、同市葵区の玉川地域の市有地にウイスキー蒸留所を建設し、来春からウイスキーの製造に乗り出す。中山間地域の活性化を期待し、地元住民が市の補助を受けて同地域初の農産物加工所をも決まり、市、事業者、住民代表が1日に共同記者会見して事業概要を発表した。
ウイスキー工場建設予定地は葵区落合の市有地約2千平方メートル(通称・玉川砂防ランド)を借り受け、将来的に購入する。2階建ての製造棟と貯蔵庫を建設し、長野県から蒸留機などの設備を移設する。6月着工、2016年春に製造開始を予定している。製造はグループ会社の「ガイアフローディスティリング」が担い、3 年間の熟成期聞を経てシングルモルトウイスキーを19年9月に発売する予定。初期投資額は4億円超で、商工中金静岡支店と清水銀行が計2億円を融資した。
地元住民は新団体「Refre(リフレ)玉川」(安本好孝代表)を設立し、工場近隣の私有地に秋ごろをめどに農産物加工所を整備する。市の「おらんとこの『これ一番』事業」の認定を受け、整備費など3年間で最大1千万円の助成を受ける。
会見したガイアフローの中村大航社長は「緑豊かな自然ときれいな空気がある玉川地域はウイスキーの本場のスコットランドをほうふつとさせ、製造に最適」と自信を見せた。安本代表は「有機農業に取り組み、いずれはウイスキーの原料の大麦生産にも挑戦したい」と話した。