2018年12月19日
静岡新聞 朝刊
山間の蒸溜所 熟成の香り
静岡市中心部から車で約40分。オクシズと呼ばれる中山間地、葵区落合の「ガイアフロー静岡蒸溜所」にたどり着いた。建物に一歩足を踏み入れる。若々しいウイスキーのツンとした、しかしどこか丸みも感じる芳香に鼻腔(びこう)をくすぐられた。
今秋、水や麦芽、燃料など、すべてを地元調達にこだわった念願の“オール静岡ウイスキー”の仕込みに本格的に乗り出した。(デジタル編集部・村松響子、白本俊樹)
洋酒造り こだわり(写真左上)
装置が所狭しと配された室内。11月下旬のこの日、“オール静岡ウイスキー”の初の蒸留が行われ、見学者に公開された。世界に一つとされる薪(まき)のじか火で加熱する蒸留機。スモーキーでパワフルな味を生み出すという
※動画では、ガイアフローの中村大航代表のインタビューもご覧になれます。
味も深まる 琥珀色(写真右上)
蒸留直後、無色透明だったウイスキーは熟成を重ねて琥珀(こはく)色に変化する。貯蔵たるの大きさや種類によって、色や味わいが違ってくるという。蒸溜所の一角の試飲室では、見学者がさまざまな熟成段階のウイスキーを吟味した
たるで貯蔵 整然と(写真右下)
たる単位で予約購入された「プライベートカスク」が、見上げる高さにまで整然と並ぶ。蒸留後に熟成を進める貯蔵庫だ。ひっそりとした空間に時折、試飲のため木づちを打ち開栓する音が響き渡った
霧中の工場 幻想的(写真左下)
標高約190メートルの山あいに立つ蒸溜所。夕方、うっすらと霧が広がった。工場の明かりがともり、幻想的な景色が浮かんだ
※動画では、一定間隔で定点撮影したタイムラプス映像で、“時の移ろい”をご覧になれます。