【メディア】2017年9月15日東京中日スポーツ
Active☆Life
ぶらり 旅人の書
静岡市 ものづくりの街ず〜ら〜よ
静岡市と聞いて、どんなイメージが浮かびますか。登呂遺跡や今川義元、徳川家康といった歴史深い街?それとも、「ちゃっきり節」でおなじみのお茶の街?実はものづくりの街でもあるんです。世界的な模型メーカー「タミヤ」を筆頭に、数多くのメーカーが本社を置いて、何やらニューウェーブも登場しているとのこと…。百聞は一見にしかずということで、富士山を一望する静岡市へ向かってみた。
徳川家康さんのおかげです!今家「模型の世界首都」
静岡市のこんな異名をご存知ですか?「模型の世界首都」−。ものづくりという面では、ホンダやスズキ、ヤマハといった世界的メーカーを生み育てた浜松市に負けていないという。その隆盛ぶりを感じられる施設がJR静岡駅近くの「静岡ホビースクエア」だ。
ここは全国初の模型専門の常設展示場。まず入り口で「機動戦士ガンダム」の模型が出迎えてくれる。でも、これだけでは終わらない。中にはマニア垂ぜんのブースがズラリ。「タミヤ」「バンダイ」「ハセガワ」などなど−。プラモデルだけではない。ミニ四駆やRCカーもある。まさに模型のパラダイスだ。
でも、なぜ静岡市でこんな盛んなのか?われわれを案内してくれた山田公之さんがその理由を教えてくれた。「家康さんにたどり着きます」。徳川家康は「駿府」と呼ばれていた静岡の街とゆかりが深い。でも、模型との関係が今ひとつよくわからない。さらに話を聞く。
「静岡浅間神社の再建にあたり、日本一の技術を持った職人が駿府に集められたんです。これが模型やプラモデル産業の礎なんですよ」。えっ、そんなに歴史深いものなんですか!ひょっとしたら家康さんも静岡で作られたプラモデルを見て、「面白いのぉ」とハマってしまうかもな…。
魅力的な新名物!2020年完成の静岡ウイスキーに茶の味わいを生かした地ビール
静岡市に来たら、お茶を忘れるわけにはいかない。その味わいを生かしたビールがあると聞き、クラフトビールの醸造所「AOI BREWING(アオイブリューイング)」へ。併設のビアレストラン「BEER GARAGE(ビアガラージ)」で、深蒸し茶を使った「OCHA ALE」を注文して見た。
徳川宗家の三つ葉葵(あおい)紋が入ったグラスを、少々恐縮しながら飲み干してみる。爽やかな味わいの中にお茶の香りが漂い、すっきりした軽い飲み口だ。義元さんに家康さん、平成の御代の駿府には立派な新名物ができていますよ!
お酒はビールだけではない。静岡さんのウイスキーを目指す試みが2月に始まった。その拠点が、玉川地区にある「ガイアフロー静岡蒸溜所」。清水区出身の中村大航社長は、故郷でウイスキーづくりを始めた理由をこう語る。「安倍川の支流が流れていて、美味しい水がある。たるの熟成に必要なきれいな空気、たるを置ける広い場所といった条件がそろいました」。
オーナー制のたるは即日完売したという。その中で、静岡さんウヰスキーの第1号「シングルモルトSHIZUOKA」が熟成を続けている。2020年の完成が楽しみだ。
さすが茶処!ヘルシー「TEA豚」
清水区の北側牧場が飼育する静岡市のブランド豚が「TEA豚(ティートン)」。お茶を飲み水としていることからこの名前が付いた。自然の空気の流れを妨げない開放的な豚舎でのびのび育った豚の肉はきめ細かい赤みと甘い脂身が特徴。でも、あっさりしているので、女性でも安心だ。徳川慶喜ゆかりの料亭「浮月楼」内の懐石レストラン「浮殿」などで提供している。
ただいま
これまでプラモデルに触れる機会がなかった。そんな私が「作ってみた〜い」と思うものが、静岡ホビースクエアの「タミヤ」ブースにあった。「ブランドール」のスイーツコレクション。本物そっくりで美味しそうだが、今の私は断捨離中。心が揺らぐばかりだ。作ってみようか、どうしようか…。
あし
東京から向かう時の玄関口はJR静岡駅となる。東京〜静岡駅間は東海道新幹線「ひかり」で約1時間。東京駅八重洲南口やバスタ新宿、渋谷マークシティ、横浜駅(YCAT)からの高速バスもある。静岡ホビースクエアはJR静岡駅南口すぐ。AOI BREWINGは静岡鉄道・新静岡駅から徒歩18分、JR静岡駅から徒歩25分。ガイアフロー静岡蒸溜所は新静岡バスターミナルかJR静岡駅前から上落合行きに乗り「奥の原上」で下車。
インフォメーション
静岡ホビースクエアの開館時間は平日が11時〜18時、土・日・祝日が10時〜18時。休館日は毎週月曜日(祝日となる時は翌火曜日)。観覧料はイベントごとに異なる。常設展のみの時は無料。AOI BREWINGで作られたビールは市内4カ所の直営店舗でも飲むことができる。ガイアフロー静岡蒸溜所は今年10月以降に一般公開を開始する予定。詳細は決まり次第、公式HPで告知する。
(文&写真 仲田美歩)