テレビ東京「モーニングサテライト」
2017年7月5日05:45〜07:05
ウイスキー業界期待の小規模蒸溜所
「今日本でクラフトビールならぬクラフトウイスキーを製造する小規模な蒸溜所が次々と誕生しています。」
「異業種からも新規参入。ビジネスチャンスを狙っています。」
「日本のウイスキーの事情でいうと、1989年に酒税が改正されたことによって、それまで級別でウイスキーのクラスが決まっていたのが、廃止されたことによって税率が一律になると。」
「小さい蒸溜所が作っていたウイスキーは、おのずとメリットがなくなってしまって、自然淘汰的に減っていってしまって。」
ウイスキーの消費量は、2008年にはピーク時の5分の1までに落ち込みましたが、ハイボールブームや連続ドラマなどによって回復。逆に製造が追いつかないという事態に陥っているのです。
今、新たなビジネスチャンスと、全国にクラフトウイスキーの蒸留所が立ち上がりました。
静岡市の中心部から、北へおよそ20キロ進んだ山あいにある、ガイアフロー静岡蒸溜所。
林業が盛んなこの土地で、地元の木材を建物の内装や設備の部材に用いています。
「ここはですね、実はウイスキーに、ウイスキーの製造においてとてもこう、向いている場所だったんですね。おいしい水が豊富にあること、空気がきれいで、そして自然が豊かであること。樽が熟成するのに、空気がきれいである必要があるからですね。」
中村さんは、かつて精密部品メーカーの経営者でした。
ウイスキーづくりに魅せられて、社長の座を捨て、去年、ウイスキー製造に乗り出したのです。
「例えば日本酒だともう、1,300以上の酒蔵が日本全国であります。で、それに対してウイスキーの蒸留所っていうのは、ほんとに両手で足りるくらいしかなかったわけです。」
「ウイスキーをつくるっていうこと自体が、実はこれからの日本でひとつの永続的なビジネスの可能性としてあるんじゃないかということに気がついたんですね。」
蒸溜所の建設に6億円を投じ、去年10月にウイスキーの製造を始めましたが、飲める状態になるには最低でも3年寝かせる必要があります。
ガイアフローは、ウイスキーをつくる前から予約販売をすることで運転資金を調達しました。
今年秋に製造予定のウイスキーを、事前に樽ごと販売する制度で、価格は一番小さい55リットルの樽でおよそ323,000円。3年寝かせた後、瓶詰めして購入した人に届けます。
「昨年の12月に1回目の予約の受付をしたんですけれども、その時でだいたい150樽以上ご用意をしてたんですが、ほぼ1日で完売と。」
同じ静岡県内でスーパーを営む経営者は、ウイスキーを事前購入した一人です。
「初めて静岡でつくられるウイスキーということで、私も地元で作っているお酒の味を知りたいというのが1番の理由です。」
国内市場は、サントリーとニッカでシェア9割を占める中、どう勝負していくのでしょうか?
「いかに安くつくるか、大量につくるかとういうことでビジネスを成り立たせようという人たちはたくさんいます。で、そうではなくて、いかに人間が手間暇かけてつくっているか、他と違う味わい、まぁそんなに量はできないにしても特徴のあるものっていうのをつくりたい。」
「グラフをご覧いただきたいんですが、国産ウイスキーの輸出、急増しているんですね。2005年におよそ9億円にまで落ち込んでいたんですけれども、去年はおよそ108億円と、およそ12倍に増加しているということで、この小さな蒸溜所が、世界で名だたるブランドになるのかどうかというあたり、注目ですね。」
「昔に比べてなんていうんですか、輸出というのも随分としやすくなるというのも変ですけれども、メイドインジャパンという意味でいいですよね、ウイスキーも。」
「そうですよね〜。で、またインターネットとかそういったものを活用すれば認知度も。」
「やはり情報がもう、とにかく小規模でもですね、あらゆる情報が駆使できるというメリットが生かせるっていうことだと思いますね。」