日に日に暖かくなってきた静岡。
日の暮れるのが早かった静岡蒸留所でも、だんだんと日が伸びてきて春の気配を感じます。梅や、モクレンも綺麗に咲き出していますよ。
そんな中、ガイアフロー静岡蒸溜所では、本格稼働を目前に竣工式が執り行われました! その竣工式と、その後に行われたオープニングレセプションの模様をお伝えいたします。
竣工式・オープニングレセプションを開催しました!
12月に搬入されたフォーサイス製のポットスチルの据え付けも完了し、いよいよ本格稼働を目前に控えた静岡蒸溜所。先日、2017年2月25日(土)に、静岡蒸溜所ではたくさんの方をお招きして、竣工式及びオープニングレセプションを開催いたしました!
まずは、竣工式から。
朝の爽やかな空気の中、続々と竣工式に参列いただく方がやってきます。
入り口には、ブルーが目に映える暖簾をかけてあります。
お招きしたのは、静岡市長をはじめとする市役所のみなさまや、地元玉川地区の方々。発酵槽がある2階で受付をしていただきましたが、床や壁など静岡市産の木材が使われていることをお伝えすると、興味深そうに眺めていらっしゃいました。
式にはブラックアダーのロビン、息子さんのマイケル、アスタモリスのバートの姿も。
そしてなんと!スコットランドのフォーサイス社からは、社長のリチャードさんがキルトを身につけ駆けつけてくれました!
どーんとそびえる、フォーサイスの蒸留機前で自らチェック中。キルト姿がかっこいい!
竣工式自体は、蒸留ルームで執り行われます。
先ほどのフォーサイス製の蒸留機の前に祭壇を設けました。
これには、リチャードさんも驚いたようで、「今まで見たことない、すごくいい光景だね!」とお褒めの言葉をいただきました。
ピカピカに輝くポットスチルと日本古来の祭壇の組み合わせに、なんとも厳かな気分にさせられます。
参列者側は、こんな感じ。
軽井沢蒸留所から移設したポットスチルとともに、式の様子を見守ります。
式を取り仕切っていただくのは、地鎮祭の時もお世話になった久能山東照宮の宮司さん。今回の祝詞奏上では、以下のようなお言葉をいただきました。
「澄み渡る空と緑豊かなる山並み、さらには旨し清らかな名水中河内川の流れをもつる、これの静岡オクシズ玉川に建てるガイアフロー静岡蒸溜所の広庭を祓い清め、神籬(ひもろぎ)差し立ておさみ奉りませ奉る、掛けまくもかしこき東照大神、産土大神(うぶすなのおおかみ)、大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)、屋船久久遅神(やふねくぐちのかみ)達の大前に、かしこみかしこみもまをさく、常も大神達の広き厚き恩頼(みたまのふゆ)をくり奉る。これの静岡市葵区落合555番地ガイアフロー静岡蒸溜所にて、ウイスキー衆生の技を生業とする、ガイアフローディスティリング株式会社 代表取締役 中村大航伊 にありては、古(いにし)平成の27年9月の16日に地鎮祭(とこしずめのみまつり)竣工へ(ことをへ)て依に、株式会社ウエストコースト等言祝ぐ諸人らの工事(たくみのわざ)によりて、いともうるわしき蒸溜所を建てもうけ、古年の9月には、ウイスキーの醸造をはじめ、さらには師走の9日に初めてとなる樽詰めを行うなど、その営みは日に日に広がりゆくまにまに、ついにはスコットランドよりフォーサイス社製蒸留機を贖い求め、ここに固く据え付け、こと秤のごとく大室を厳しく麗しくつくり終える。かれ八十日(やそかび)は有れども、今日を生日の足る日と選び定めて、竣工へ(ことをへ)並びにウイスキー成就祈願の御祭り仕え奉らくと、大前に御食・御酒をはじめ、海川山野の種々(くさぐさ)のためつ物奉り、ガイアフローディスティリング株式会社 代表取締役 中村大航伊 をはじめ静岡市の首長たる 田辺信宏伊 らかかずらう者共等参集(まゐうごな)はり侍りて、諸神奉る状を平けく安らけく聞こしめして、大神たちのふしき尊き御霊幸へ(さきわへ)給えて、事始めたる酒造りの技に八十枉津日(やそまがつひ)のまがつことなく、蔵人らが力を合わせ、心をひとつにつくりと造るウイスキーを甘き芳しき(かぐわしき)酒と醸さしめ給い、いつとせの後には麗しく琥珀の色に染め上げ、ガイアフロー静岡蒸溜所の誉れがを四方やもに轟かせしめ営みをいや栄えに、たち栄え護り恵み幸へ給えと、かしこみかしこみまをす。乞い祈み奉らくとまをす。」
静岡蒸溜所の歩みをお招きしたみなさまにも伝える、素晴らしい祝詞でした。
この後、お清めをし、玉串奉奠(ほうてん)になりました。
玉串は、ブラックアアダーのロビンにも奉奠してもらいました。
日本の伝統的な作法ですが、引き受けてもらえて嬉しかったです。
竣工式に引き続いて、テープカットも行われました。
左から順番に、地元玉川地区の狩野連合町内会長、弊社社長中村、田辺静岡市長、この素晴らしい建物をデザインしたデレック氏。4名でフォーサイスの蒸留機前に立ち、白手袋ではさみを握ってスタンバイ。
みなさん、晴れ晴れとした笑顔で、嬉しさが伝わります。
ニュース映像でよく見る光景ですが、実際目にするとなんだかジーンとしますね。
テープカット後は、再び祭壇前にて中村よりお礼の言葉を。
蒸溜所建設を考えてから今まで、たくさんのみなさまの力によって助けられ、支えられ、ようやくスタート地点に立てた喜びと感謝を話していました。
そして、テープカットでご登壇いただいた方々からも、それぞれからお祝いの言葉をいただきました。
まずは、静岡市長である田辺信宏氏。
2015年に共同で記者会見を開いてから、2年弱。田辺静岡市長をはじめとした、市役所のたくさんの方々の協力のおかげで、今があります。静岡市という土地が、よりいっそう活性化するための起爆剤になって欲しいとのお言葉をいただきました。
精一杯美味しいウイスキーをつくって、日本に、世界に静岡をアピールしたいと思います。
続いて、静岡蒸溜所のある静岡市の玉川地区自治会連合会の狩野宏会長にお言葉を頂戴しました。
玉川地区は、もともとは26もの小さな町が集まってできた場所だったそうで、現在その地区をまとめていらっしゃるのが狩野連合自治会長です。ウイスキーの蒸溜所をつくりたい、という説明会を開いたときから、後押ししていただいています。地元の方の理解が得られたのも、狩野連合自治会長のおかげです。
そして最後は、この素敵な建物をデザインしてくれたバストン・デレックさん。
最初に静岡蒸溜所をこんな風にしたいというイメージを話し合った時から、目指す方向性がぴったりな、素晴らしいデザインを提案していただきました。魅せる蒸溜所ということ、機能的であることというテーマが見事に融合したこの静岡蒸溜所のデザインは、デレックさんの力がなかったら実現しませんでした。
実は林業も盛んな静岡、という土地もアピールできる、木のぬくもり溢れる美しい蒸溜所は、自慢の職場です。
お祝いの言葉をいただき、滞りなく竣工式が終了。午後のオープニングレセプションに備えて模様替えをします。
椅子と祭壇を片付け、テーブルとお料理のセッティング。外でも、できたてのお料理をお出しするために、着々と準備が進んでいます。
オープニングレセプションには、地元のバーの方やウイスキーの製造に関わる方々をお招きいたしました。
全員が揃ったところで、中村よりご挨拶を。
今までの思いが溢れすぎてしまったようで、すこーしだけ長めなご挨拶になってしまいましたが、熱い思いが伝わったのではないでしょうか。
続いて、来賓挨拶としてベンチャーウイスキーの肥土伊知郎氏よりお言葉を頂戴いたしました。肥土氏には、この蒸溜所建設を決めた当初より大変お世話になっていて、出会った当時のエピソードを交えお話いただき、昔のことを思い出しながら胸にこみ上げるものがありました。
続いて、ウイスキー文化研究所の土屋守氏からもお言葉をいただきました。
緑豊かで、清らかな川が流れる静岡市の玉川地区の環境の素晴らしさ、ガイアフローのこれまでのエピソードや、取材で訪れた際の蒸溜所が出来上がっていく様などをお話しいただきました。
そして、ガイアフローといえばこの人は欠かせない、ブラックアダーのロビン。英語での挨拶だったため、急遽設計を担当したデレックさんも通訳として登壇していただきました。
最初は、ロビンがガイアフローが日本の輸入代理店になった経緯などを話して、それをデレックさんが通訳するといういわゆる一般的なスピーチ。
でも、それだけじゃないのがロビンのユーモアあふれるところ。「こんな素晴らしいデザインをした建築家は、なんて才能ある人物なんだ!」と褒め出して、デレック氏が自分で自分を褒める状況に困ってしまう一幕も。ロビンらしく、「お腹も減ったし、喉も渇いてるからそろそろ乾杯しない?」と、お茶目に挨拶を締めくくりました。
ここで、ジャズボーカリストのウィリアムス浩子さんに、お祝いの歌を歌っていただきました。
ウィリアムス浩子さんは、静岡市出身のジャズボーカリストで、アルバム7作がアマゾンのジャズチャートで連続1位を記録するなど、日本を代表するジャズボーカリスト。
社長である中村と数年前から親交があり、蒸溜所が出来たらぜひ竣工式で歌っていただきたい!という中村たっての希望で、今回のコラボレーションが実現しました。
歌っていただいたのは「モナ・リサ」。フォーサイスの蒸溜機の前で歌っていただいたのですが、しっとりとした歌声が蒸溜所内に響き、美しい光景でした。
そしていよいよ、ロビンもお待ちかねの乾杯に。乾杯酒は、もちろん静岡蒸溜所のニューポット!
乾杯の挨拶は、あの白州蒸溜所や山崎蒸溜所で工場長を務めた、嶋谷幸雄氏にお願いしました。嶋谷氏のような方に、これからの未来に向けて、ガイアフロー静岡蒸溜所にエールをいただいての乾杯は夢のようでした。
このレセプションでは、お料理などはすべてブッフェ形式。ガイアフローのすぐそばにある農産加工所のたまゆらさんと、地元の猟師さん、地元のカフェにお願いして、地元の素材を活かした静岡らしい料理をご用意いただきました。
たまゆらさんのお料理では、地元のワサビの葉やふきのとうを使った揚げたての天ぷらや、串にさして醤油出汁で煮込んだ静岡おでんが大人気。
地元の猟師さんが仕留めた鹿を使った、カツやローストなどのジビエ料理も大変好評で、地元静岡の食も知ってもらえる良い機会になりました。
お料理をいただきながら、再びウィリアムス浩子さんにもご登場いただき、歌を歌っていただきます。ジャズの生演奏を聴きながらのレセプションとなり、なんともゴージャスな雰囲気です。
最後に、ガイアフロー静岡蒸溜所の全メンバーでみなさまにご挨拶を。
中村のお礼の言葉で締めくくりとなりました。
お忙しい中、参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!
また、今回の竣工式及びオープニングレセプションで司会を引き受けていただいた神田えり子さんにも厚く御礼申し上げます。
今回無事にこの大きなイベントをやり遂げることができたのも、神田さんの司会があってこそ。素晴らしい司会進行ありがとうございました。一般公開が始まったら、ぜひまたいらしていただきたいです。
静岡蒸溜所の一般公開は、今年の夏以降を予定しておりますので、ぜひおいでください。
従業員一同、みなさまのお越しをお待ちしております。