2016年1月1日 日経MJ
「地ウイスキー」産声
ガイアフロー 静岡で本格スコッチ狙う
静岡市玉川地区に静岡蒸留所を設けるのはガイアフロー(静岡市)の中村大航社長。もともと半導体関連部品会社の3代目だった。
価格引き下げへの圧力が強い中、事業に限界を感じていた。「つぶれない中小企業の条件は商圏が広くオンリーワンの商品を持つこと。また顧客が多く、自分で販売も行っていることだと考えた」(中村社長)
12年、再生可能エネルギー事業を考えていたが、電力の小売自由化はいつまでたってもやってこない。新規事業の種が見つからないまま、気分転換のためスコットランドを訪ねたのが転機だった。
好きなウイスキーの蒸留所を巡る中で、キルホーマンという05年に創業したばかりの蒸留所に出会う。自らの会社よりも小さな敷地で、他の蒸留所では自動で水量を調整する機器が「浮き」で水位を測ったりするなどローテクな設備であることを目にする。
「すぐにこれだと思った」。酒はオンリーワンの事業。日本酒ならば300年、400年と続く会社も多い。日本酒の醸造所は日本に1600カ所以上あるのに対し、ウイスキーは日本では10カ所に満たず、世界でも1千カ所もない。世界で勝負出来ると感じた。
まず酒類免許を取得してウイスキーを売る事業を始め、酒販業界にネットワークを作った。全国で蒸留所用の土地を探す中、地元の静岡市からインフラが十分に整っておらず、地域おこしにも使いたいと言う希望から20年塩漬けになっていた市有地を紹介された。