通常は海外から原材料を輸入して造られているウイスキー。
全てを地元の原材料でのウイスキー製造は、ジャパニーズウイスキーとしては珍しく、とても貴重なものです。
今回、ガイアフロー静岡蒸溜所は、原材料全てを地元・静岡産のものを使用し、ウイスキーの原酒を製造いたしました!年内はこの1回の仕込みだけですが、夢のオール静岡産ウイスキーの、大きな第一歩です!
オール静岡産のウイスキー!大きな一歩!!
ウイスキーを造るために必要な原料は、麦芽・酵母・水。
麦芽は、国内で生産される量も少なく、日本の主な蒸溜所はスコットランドなど海外からの輸入をしています。また、発酵に使用する酵母は、ウイスキーの性質にあったものを使用する必要があり、静岡蒸溜所でも通常は海外から輸入をしています。
このような状況の中、せっかく静岡でウイスキーを造るなら、原材料をすべて地元・静岡産にして造りたい!という思いがありました。
そのため、地元の方に大麦を栽培していただいたり、酵母を開発していただいたりと準備を進めてきました。そうしてようやく製造に至ったのが、今回の仕込みなんです。
【仕込み水】
静岡蒸溜所の地下を流れる、安倍中河内川の伏流水。ウイスキーの仕込みから加水に至るまで、敷地内の井戸から汲み上げたものを使用しています。
【麦芽】
地元の玉川地区桂山及び富士宮で栽培された大麦麦芽。
特に地元玉川地区の麦芽は、株式会社山本建材(静岡市葵区松野)様が、静岡蒸溜所の近くにある桂山(かやま)で栽培したもの。大麦の栽培がほとんどない静岡県内でも稀な、貴重な麦芽です。
【酵母】
沼津工業技術支援センターで、ウイスキーやビールの麦芽用に開発された新しい静岡モルト酵母(NMZ-0688)。これまでも、清酒酵母「静岡酵母」を開発しており、日本酒の全国新酒鑑評会でも高く評価されています。
【燃料】
世界で唯一と言われる、薪を燃やして蒸留する直火蒸留機。その薪は玉川地区の間伐材を、敷地内で薪割り・乾燥して使用しています。株式会社玉川きこり社(静岡市葵区桂山)に供給していただいています。
いずれも地域の協力がなくては成立し得ない原料です。
オール静岡産ウイスキーの製造工程をご紹介!
酵母の活性化からはじまって、蒸留まで。ウイスキーの製造行程にしたがって、順番にご紹介します。
2018年11月5日
まずは、静岡モルト酵母の活性化から。
沼津工業技術支援センターに通って、株菌の培養をします。
バケツで運べるくらいに培養し、静岡蒸溜所へ移動。
さらにタンクへ移し、麦芽の糖化、発酵のタイミングまでじっくり培養をしていきます。
2018年11月15日
原料の静岡産大麦麦芽。これをモルトミルで砕くところから仕込みが始まります。
静岡蒸溜所のモルトミルは、かつて軽井沢蒸留所で活躍していた年代物。真っ赤なボディとメーカー名のプレートがとてもカッコイイんですよ!
2018年11月16日
「オール静岡産」の麦汁づくりが始まりました!
お湯と混ぜ、麦芽が持っている酵素の力で糖化します。ここでは、いかにクリアで甘い麦汁をつくれるかがポイントです。
糖化槽に砕いた麦芽を投下する瞬間!お湯とともに静岡産の麦芽が勢いよく入っていきます。
ゆったりとかき混ぜられ、甘い麦汁をつくっています。
出来上がった一番麦汁!!
口に含むと、普段の麦汁とは少し違った香りと優しい甘みが、ふわっと広がりました!
発酵槽の上から投入するので、フワッフワに泡立ちます!静岡モルト酵母も一緒に投入されていますよ〜!
2018年11月18日
静岡モルト酵母、元気に発酵中!
日本酒のような、甘酒のような…発酵特有のちょっとフルーティーで繊細な香りがします!!発酵が終了したものは「モロミ」と呼ばれ、次の蒸留の工程へ。
2018年11月22日
いよいよ蒸留。
初留はもちろん、地元静岡の薪を燃料にした薪直火で!!
この日は、静岡蒸溜所の記念すべき第1回目の見学ツアーの日でもありました。
このツアーに関してはまた後日、ブログでご紹介いたしますね。
世界で唯一と言われる、薪を燃やして蒸留する直火蒸留機。赤々と燃える炎に、海外ゲストをはじめ、みなさま興味津々のご様子!
2018年11月23日
この日は、2回目の蒸留。
この工程で、ウイスキーの原酒となるニューメイクが完成します!完成したニューメイクは樽に詰められ、貯蔵庫で大切に保管されます。
オール静岡産の貴重な一歩。
ウイスキーと呼ばれるその日が、とても楽しみでなりません!
【協力農家さん募集中!】
静岡蒸溜所では、これからもオール静岡産ウイスキーの仕込を広げていくために、静岡県内で大麦の栽培にご協力いただける農家さんを探しています。詳しいことは下記のリンクから、静岡蒸溜所へ直接お問い合わせください。
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